截金の作製方法をご紹介します。
これまで弊社のfacebookページでは、截金(きりかね)を用いた作品をたびたび紹介してきました。
しかし截金という技法の知名度はまだまだ低く、どのように作製されているのか、ご存じない方も多くいらっしゃると思います。
そこで今回は、截金の作製過程をご紹介します。
截金とは、細い線状に切った金箔で、様々な図柄や文様を描く技法です。
金箔は4枚程度を焼き合わせて厚みを持たせたものを用い、箔の裁断には、下の写真のような竹刀(ちくとう)を使用します。
鹿皮を張った台の上に箔を乗せ、竹刀の刃を当てて軽く前後に動かします。
箔が切れたら、箔を貼り付ける作業に入ります。
截金を施すときは、両手に一本ずつ筆を持ちます。
左手に持った筆は水で濡らし、箔を拾うために使います。
右手の筆には糊をつけ、箔を貼り付けていきます。
写真のような細い帯状の箔を何本も組み合わせることで、複雑な模様を描くことができます。
弊社で手掛けた截金作品をご紹介します。
雲中供養菩薩
開山
釈迦如来立像
弘法大師
阿字観本尊
金剛界曼荼羅
截金は大変な時間と手間、そして根気を必要とする技法です。
しかしそれにもかかわらず、截金は古来から今日まで、途絶えることなく伝統として受け継がれてきました。
それはなぜなのでしょうか。
一つには、金の美しさがあげられます。
截金には本物の金を用いるため、変色や劣化することがなく、いつまでも美しさを保つことができるのです。
また日本においては、仏教との関係も重要です。
飛鳥時代に大陸から伝わって以来、截金は主に仏像の荘厳に用いられてきました。
金の持つ美しさと、截金だからこそ表現でできる緻密な文様は、仏さまの衣や装身具の荘厳にふさわしい技法として受け継がれ、人々の心を惹きつけてきたのです。
歴史的に見れば、截金の全盛期は平安から鎌倉時代でした。
この頃に作製され、截金を施された仏像や仏画のなかには、今日まで残され、現在でも見ることができるものも多くあります。
しかし残念ながら、截金という技法の認知度が低いために、多くの人は截金を見ても、それが截金であることに気付きません。
このブログを読まれた皆さんは、今後お寺や博物館で仏像を鑑賞するときは、少しだけ目を凝らしてみてください。
もしかしたら、截金が用いられていることに気付くかもしれません。